一言で「プロジェクト・マネジメント」と言っても、いろいろな要素があります。
伝統的には「PMBOK」などの形で壮大なまとめかたをされている場合もありますが、ここでは重要要素を3つだけ、あげてみます。
このブログでは、ホームページ制作やWebサイト、いわゆるWebサービスを構築するプロジェクトでのマネジメント経験をベースとしていますが、IT系のスタートアップ企業にも応用できる内容です。
超重要ポイント1)時間の管理【タイムベース・マネジメント】
規模の大小を問わず、「プロジェクト・マネジメント」においてもっとも重要なのは、「時間の管理」です。スケジュール管理といってもいいですし、「タイムベース・マネジメント」という場合もあります。
時間は、生産性と直接に結びついています。
生産性は、たいていの場合、成果を時間で割り算しますから、かかる時間が短くなれば直接的に生産性を上げることができます。しかし、時間が短くなればいい、というものでもなく、仕事の質が問われます。つまり、時間が短くても仕事が雑になったらダメ、という意味です。一定以上の質は出るが一番短い時間で、というバランスが求められます。
何人かのチームで仕事をする場合、スケジュール管理をする手法は、かなり確立されています。「いつ」「だれが」「何をすべきか」ということを設計して、そのとおりに進んでいるかどうかをチェックします。
時間管理ツール:ガントチャート、WBS
もっとも一般的なのは、「ガントチャート(Gantt chart)」「WBS(Work Breakdown Structure)」などと呼ばれるので、スケジュール、ガント、ガントチャート、WBS、工程表というあたりはほぼ同じものを指している現場が多いです。
ガントチャート」がどんなものかイメージをつかむには、毎度お世話になっている画像検索を使いましょう。
ガントチャートは、完成したのものをみると一見複雑に見えますが、つくりかたはものすごくシンプルです。
まず最初に、段取りを書き下します。
何をどういう順番でやるかの項目を1個ずつ書いていきます。
次に、それぞれに何日ぐらいかかるかの見当をつけて(見積もって)、日数を書いていきます。
たいていのガントチャートツールでは自動的に右側にグラフがひかれますので、同時にできるものは同時に、前の項目が終わっていないとできないものは重ならないように、日程を調整していきます。すると、全体でどれぐらいの時間で終わるのか、の現実的な見積もりができあがります。
これに、各項目を誰が担当するのか、誰が責任をもつのかを書き込んで、チームの合意をとったら、あとはこれがまもられているかときどき確認すれば、最初に決めた日までにすべてを完了できることになります。
時間の管理ツール:Redmine、Backlog、Trello、JIRA・・・
チームで仕事を進めていく場合、これをうまく共有したくなります。
そのためのツール、つまり、プロジェクト管理ツールとしては、チケット型(Redmine、Backlogなど)やカード型(かんばん型)(Trello、Jiraなど)があり、メンバーの好みや流行によって使い分けるとよいでしょう。
超重要ポイント2)情報共有
これらのようなプロジェクト管理ツールを使う目的は、「時間の管理」というよりはむしろ「情報共有」です。チームでプロジェクトを進めるときに、この「情報共有」をスムーズに行えるかどうかが、仕事の質やプロジェクトの成功/不成功を決めてしまいます。
チームのメンバーができるだけ抵抗少なく感じる手段、頻度を選ぶことが大事です。ヒトとヒトとのコミュニケーションですので、もともとある信頼関係、いっしょに仕事をしてきた実績、それぞれのスキル、性格、国籍だけでなく企業文化などのカルチャーによって、その選び方、正解はまったく違うものとなります。
情報共有のための手段・ツール
「プロジェクト・マネジメント」の観点から、「情報共有」の手段をみていきます。
会議、打ち合わせ、会って話す
会って話すのが一番濃いコミュニケーションができます。伝わる情報量は多くその精度も高くなります。
デメリットは、コストが高いことです。
メンバーの時間と居場所を合わせなければなりませんので、場合によってはかなりの費用がかかります。社内だからカンタンに集まれる、と思ったかたは、会議に出席しているメンバーの時給を予想して合計してみてください。上司が出ている会議などは頭がクラクラすること間違いなしです。
電話会議、TV会議
そのコストを下げるための手段として、電話会議、その発展版のTV会議が普及しています。
これはアメリカのほうが利用が進んでいて、たとえば、
- ニューヨーク(東海岸の本社)
- シカゴ(中央部の外注拠点)
- ロサンゼルス(西海岸の拠点)
- インド(外注先)
みたいなメンバーと毎週話すには、現実的に電話会議しか手段がありません。
逆に、みんな東京にいますという場合、電話会議のメリットはあまり感じられないのが現実です。
電話会議やTV会議の場合、独特のノウハウがあり、メンバーが慣れていないとなかなかうまく会議できないのです。ケースバイケースではあるものの、伝わる情報の量と質は、実際に会うことにくらべるとかなり落ちる、というのが共通認識です。
メール、電子メール
後述のチャットツールにおされて非難されることも多くなりましたが、利便性と普及度でメールに勝てるものはまだないと言っていいです。電話とFAXのみ、みたいな時代も長く経験した私にとっては、いまでもおそろしくベンリな手段です。
チャットツール
「プロジェクト・マネジメント」の観点から生産性を上げる、つまり、スピードを上げるツールとして、チャットが普及してきました。
国産での代表格は「チャットワーク(Chatwork)」、世界トップシェアは「Slack」です。
上述のチケット型やカード型のプロジェクト管理ツールを使わなくとも、グループチャットのみである程度のプロジェクト管理ができてしまいます。
Facebook Messenger
意外とあなどれないのが、Facebookのチャット機能である「Facebook Messenger」です。業界にもよると思いますが、フリーランス系の外注さんと企業が連絡するときなどに、多用されています。
ファイル共有
データを共有する手段も「情報共有」の一面としてとても大事です。ファイル共有ができるツールは本当に山のようにたくさんあり、上述のチャットツールやメールでも共有できます。あえてあげるとするなら、「Dropbox」「Googleドライブ」などが代表格です。
プロジェクトが始まったら、まずは情報共有手段をかためる
プロジェクトが始まったときには、まず「情報共有」手段を定めるのがセオリーです。たとえば、メーリングリストをつくったり、グループチャットをつくったり、ファイルの置き場所を決めたりするのが、プロジェクト・マネージャーの最初の仕事となります。
超重要ポイント3)体制構築
「プロジェクト・マネージャー」という立場の場合、ヒトを自由にアサイン(割り当て)できることはほとんどありませんが、それでももてる人材をどのように活用するかは、その手にゆだねられています。
「プロジェクト・マネジメント」の目的は最大の成果を出すことですが、そのためには、まず一定時間内に目的を実現できる「実力」を確保する必要があります。必要なスキルや必要な人数を見積もります。
上述のガントチャートをみれば、そのときどきで必要なスキルや人数は変化していきます。最小の時間で達成するのはその段取りがもっとも重要ですが、体制構築の観点から見れば、最小の人数でどうやって達成するか、がプロジェクト・マネージャーのウデの見せどころです。
人数が少なければ、当然費用が少なくて済みます。IT系の企業やプロジェクトは、その大部分が人件費でそれ以外に何もないことが多いので、
人数が少ない=コスパ超高い
という図式になります。
コミュニケーションのコスト
人数が少ないことはもう一つ大きなメリットがあります。
それは、コミュニケーションコストが小さくなる、ということです。
前述の「情報共有」を振り返ればわかりますが、人数が増えれば増えるほど、「情報共有」にかかるコストは上がっていきます。情報が伝わらなくなり、マネジメント側からは、いま誰が何をやっているのか把握しにくくなります。
最小の時間で、最小の人数で、最大の成果を出すことが、「プロジェクト・マネジメント」にもとめられる永遠の課題です。
まとめ
「プロジェクト・マネジメント」の超重要ポイントを、「時間の管理」「情報共有」「体制構築」の3つに絞り込んで、その要点や事例を紹介しました。
お役に立てば幸いです。
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