「〇〇テック」という言葉がはやっています。後ろに「テクノロジー」の略である「テック」をつけて、「(なんとか)テック」という言葉が飛びかうようになりました。これをもう少しかっこよく、「X-Tech(クロステック)」と呼び、これを会社名にした企業まで出てきています。
今回はこの「X-Tech」の注目事例をまとめて、「なんとかテック」が激増してきた背景をあぶりだします。
「X-Tech(クロステック)」事例8選【なんとかテック】
「X-Tech」の事例を紹介しながら、その盛り上がりを感じていきましょう。
Fin Tech(フィンテック)
「FinTech」の、「Fin」は「Finance」の略で、金融(ファイナンス)をネットの技術で大変革させています。
伝統的な銀行のサービスを、単純に「スマホで全部できますよ」というだけではなく、ネットを使ってものすごくカンタンにできるようにしたり、ものすごく速くできるようにしたりする、と考えるとわかりやすいです。また、証券会社の投資や不動産投資なども、大きな金額でなく少額の資金でも多くの人が参加できるようにしたりします。
カンタン、速い、安い、という三拍子を実現することは、これら「X-Tech」の事例全体にに共通して流れている形容詞です。
「FinTech(フィンテック)」の具体的な事例としては、仮想通貨を使った取引、AIを使った株式投資(投資信託)、クラウドファンディングで資金を集める、ソーシャルレンディングで債券に投資、QRコードでの電子決済などなど、「FinTech」と称されるサービスは多方面・多岐にわたります。
HR Tech(エッチアールテック)
「HR Tech(エッチアールテック)」の「HR」は「Human Resources」の略です。
つまり、会社の人事や総務の機能を、「テクノロジー」=ネットで、速く安くカンタンにしようというサービスです。
人手と紙で行う業務が残り続けていた人事総務部門の仕事が、この数年の間に激変して「HR Tech」と呼ばれるサービスに吸収されつつあることは、現場にいる方々なら強く感じているでしょう。特に、ここ2年ぐらいの盛り上がりで、サービスを提供する会社が激増し、サービスを採用する企業も増えて、ブーム到来中です。
人事総務部門の業務を、あますところなくフォローする勢いが見えており、採用、求人、人事評価、人員管理(タレントマネジメント)、BIのような人事の分析ツール、勤怠管理、給与計算、はては退職者のコミュニティを作るものまで、多種多様なサービスが登場しています。
「HR Tech」の事例としてわかりやすく代表的なサービスは、「SmartHR」でしょう。
不動産テック
不動産は英語で言うと「Real Estate」ですが、日本ではなじみが薄いためか、頭文字の略語ではなく「不動産テック」と呼ばれます。
不動産を売ったり買ったり、あるいは、借りたりした経験があれば、この分野ほど「カンタン・速い・安い」の反対をいっている業界もないだろう、ということはすぐわかります。たいていの場合、たくさんの書類に住所と名前を書かされ印鑑をたくさん押す体験をしているでしょう。
加えて、不動産の取引は、動くお金が大きく、利益の幅も金額が大きいため、注目されています。
「HR Tech」と同じように、不動産取引に関わるものをすべてカバーする勢いで、企業やサービスが広がっています。また、「FinTech」など他の分野のテクノロジーと組み合わせたサービスもどんどん登場しています。
具体的には、賃貸住宅、賃貸オフィス、ホームステイ、民泊、クラウドファンディングと組み合わせた金融、AIやIoTと組み合わせたスマートハウスなど、多方面に広がっています。
わかりやすい事例は、2018年2月に日本にも参入し破竹の勢いで物件を広げている「wework」です。
アドテク(Ad Tech)
「Ad(アド)」は、「Advertisement」=広告のことです。
インターネット広告の分野で、新しい技術を使って効果の高い、儲かる広告の仕組みを提供するサービスを「アドテク」といいます。
この「アドテク」という言葉は、「X-Tech」が出てくる前から使われていたので、この文脈にあてはまるものでは必ずしもありませんが、言葉として普及しているのでピックアップしました。
もう少しあとにできた言葉であれば、「アドテク」ではなく「アドテック」となったのかもしれません(笑)
Ed-Tech(エドテック)
「Ed」は、「Education」つまり、教育のことです。
ネットで教育に革命をもたらすのが「Ed-Tech(エドテック)」というわけです。
古くは「eラーニング」と呼ばれていた、ネットで講義の動画や資料などを提供する形態が主流です。
学校に集まって集団で同じものを同じように学ぶ、という形態から、いつでもどこでも自分のペースで学んでいける環境が整いつつあります。
「eラーニング」という言葉ができた時代と異なるのは、ネットとクラウドによってコンテンツが多種多様になったことと、AIと組み合わせて半自動的に効率よく成果を出せるようになったことでしょう。
代表的な事例としては「Udemy」が有名です。
リーガルテック(Legal Tech)
「リーガル(Legal)」は、「法的、法律上の」という意味です。
つまり、弁護士や裁判所、法曹界の仕事を、テクノロジーで置き換えてしまうサービスを総称します。
ここでおさえておくべき流れは、いわゆる「士業(さむらいぎょう」と呼ばれる仕事が、テクノロジー、多くは人工知能・AIに置き換わっていくことです。弁護士などの法曹界だけでなく、会計士、行政書士、税理士などの仕事の大半がテクノロジー、ネットに置き換わると予想されています。
関係する判例を自動的に検索してくれて弁護士の業務を肩代わりしてくれるサービスが、「X-Tech」先進地のアメリカでは有名です。ネットで個人相談を受け付けたり、弁護士の書いた記事を掲載・提供するWebサイトも、「リーガルテック」に含まれています。
また、中国ではついに「AI裁判官」が登場して実際に判決を下しているようです。
いろいろな意味でおそろしいですね。
RegTech(レグテック)
「Reg」は、「Regulation」=規制のことです。
国内外のいろいろな規制を、速く、カンタンにクリアすることを実現します。
規制の多い金融機関で「FinTech」と組み合わせた事例が多くありますが、上述の不動産関連など他の分野の各種規制、役所での手続きを行ってくれるサービスがどんどん増えています。
また、規制する側の当局、政府自身が「RegTech(レグテック)」で行政を効率よくする、という事例も登場しています。
他の「X-Tech」と同じく、「RegTech」も、AIやブロックチェーン、IoTを組み合わせることで、効率を上げ、強烈な時短を実現します。
Agri-Tech(アグリテック)
「Agri」は「Agriculture」=農業のことです。
農業にネットを使うの? と不思議に思うかもしれませんが、住宅などと同じように「IoT」など他の領域と組み合わせることで、人手で重労働になりがちな農作業を自動化したりカンタンにしたりします。
わかりやすいところでは、水田、稲栽培の自動化がTVなどでよく取り上げられています。
ドローンを使ってイネの状況をモニターしたり種や農薬をまいたり、AIと組み合わせて虫にやられているところだけに農薬をまく、などの事例も出てきています。
まとめ
大流行の「X-Tech」(クロステック)について、その代表的な事例を紹介することで、盛り上がっている雰囲気をお伝えしました。
これらに共通する特徴や考え方、そのキーワードを解説するこの記事も合わせてご覧ください。
お役に立てば幸いです。
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