「AIに仕事をうばわれてしまう!」
「AIが機械に感情を与える!」
「AIに支配されてしまう!」
「AI」や「人工知能」に対する挑発的な見出しや記事を見かけることが多くなりました。今回はAIで何ができるのか、超シンプルに紹介します。
「AI」にできること:似てるかどうかわかる
人工知能、AIという言葉には多義性があります。ここでは、昨今流行しているニューラルネットワークにおけるディープラーニングを使ったAIを、「AI」と呼ぶこととします。
「AI」にできることは、似ているかどうか、わかる。どのぐらい似ているかを確率っぽい数値で表せる。
AIにできること:画像の判別
一番わかりやすい例は、画像の判別、判定です。
たとえば、犬の画像をたくさん入力して、これは犬です、と1個ずつ教えていきます。すると、まったく別の犬の写真を入力したときに、「これは犬です、82%ぐらいの確率で。」という感じの答えを返してくれます。
ここで1つのポイントになるのが、最初に教えるデータ(教師データ)がたくさん必要だ、ということです。
逆に言うと、教師データをとにかくたくさん入れておけば、いい感じに正解を出してくれるようになった、というのが、「ディープラーニング」が広まった理由です。特に、画像の判別、認識で大きな成果が出ました。
「AI」にできること:動画の判別、判定
画像がめちゃめちゃたくさん、つまり、1秒間に15個とか30個とか集まったら動画になるので、たとえばカメラ画像を使ってリアルタイムに計算することも可能になりました。たとえば、カメラに映ったヒトが誰なのか、男性なのか女性なのか、何歳ぐらいなのか、という判別ができるようになっています。
正解がなくても学習:「教師なし学習」
「教師なし学習」という手法もあります。これはデータをたくさん入力して似ているものをよせる、つまり、分類させます。人間が正解を与えなくてよいかわりに、データがたくさん必要です。たとえば、2012年頃に「Googleの猫」が話題になりました。Youtubeにアップされている大量の猫動画をAIに入れたところ、AIが猫を認識できるようになりました。
「AI」にできること:囲碁対決
また、2016年に「AlphaGo」という囲碁のAIがプロ棋士に勝ったことが話題になりました。このときは教師データ(この場合、棋譜データ)を3000万個ぐらい入れたそうです。そのあともどんどん改良され、ついには教師データを与えることなく、AIとAIで対戦することによって学習を重ねて、強くなることに成功しました(これは強化学習と呼ばれます。)
「AI」にできること:分類
「AI」は、画像や音声、天気や交通情報など、いろいろなデータを分類、認識することができます。たとえば、現在の天気データを入れると、その次にどうなるのか、つまり予測ができるようになります。このような手法を統計の分野では「回帰分析」と呼びます。しかし、ここでいう「AI」は回帰分析を行っているわけではありません。
数式を人間が考える「統計」、数式を考えない「AI」
回帰分析、つまり、統計学では、分類するための数式を人間が考えます。こういう数式で計算すれば、たとえば天気の予測がかなり正確になるよ、ということを求めます。
「AI」はこの数式に当たるものを考えることはありません。ニューラルネットワーク、つまり人間の脳の構造をマネした数式でひたすら計算し、その計算結果をAIのなかにためていくだけです。そのたまった数値が何を意味するのかは、誰も説明できません。
つまり、なぜ犬と当てられるのか、なぜ予測できるのか、説明できないのです。やらせてみたらできますね、というだけなのです。一般論として、人間は7%程度間違うそうです。ですから、やらせてみて93%以上正解すれば、AIとして使えるんじゃない?という判定が出るのです。
つまり、なぜだかわからないけどやらせてみたらいい仕事するよ、というおおらかな考え方のもとに、AI技術は展開されています。
このような考え方を「ブラックボックス」「ブラックボックス・モデル」などと呼びます。
まとめ
「AI」や「人工知能」には何ができるのか、できる限りシンプルに、事例をひきながら紹介しました。
お役に立てば幸いです。
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