ゼロから起業してビジネスを立ち上げるときに必ずぶつかる壁が「カネ」つまり資金です。ここでは、ゼロから「手金」を得るにはどうしたらよいか、小さく稼ぐアイデアを紹介します。
「手金理論」で少しずつおカネを稼ぎたいが・・・
このブログでは、一貫して「手金理論」、つまり、最初から他人の借金や投資を受けずに、少しずつ少しずつおカネを稼ぎながら、雪だるまを転がすようにコツコツと事業を大きくしていくことをオススメしています。
いままでにも、「手金理論」を前提に「いらないもの」を論じたことがあります。
しかし、学校の勉強では、何かを売ってお金を稼ぐことはありません。起業しておカネを得る、ということは、何かを売っておカネを稼ぐことですが、それを学校で体系的に教えてもらえることは稀です。よって、この点に関してはたいていの人が初心者です。
最終的に目指している製品やサービスで、最初からおカネを稼ぐことができればベストです。しかし、意識的に「リーン・スタートアップ」などの手法をとらなくとも、試行錯誤するのが普通ですので、最初から本編のサービスや製品で売り上げをあげていけるケースは少ないでしょう。
昨今は「クラウドファンディング」が流行しており、製品ができていなくてもお客様・ユーザーから資金を集められるようになっています。しかし、「クラウドファンディング」でおカネを集めるためには、ある程度製品やサービスを確立して形ができている必要があります。それを量産するための資金を得るのが「クラウドファンディング」の典型的な活用法でしょう。「形になる」までの間どう食いつないだらいいのか、というテーマは残ります。
「んじゃぁどうしたらいいんじゃい!?」というジレンマ・切実な願いにお答えするのがこの記事の目的です。
おカネを稼ぐ練習をしよう!
何かを売っておカネを得る「商売」に必要なのは次の2つです。
- おカネが流入するルートを作る
- お客様・ユーザーの声を聴いて磨き上げる(ブラッシュアップする)
この2つができれば、ビジネスがどんな形であろうが発展します。あるいは、神田昌典氏が著書で書いている「焼け野原から鉛筆一本で立ち上がる」ことができるようになるはずです。
「起業したのだから」と大きく構えず、この2つを「練習する」と考えればアイデアが湧いてくる気がします。
レモネードを売る?
アメリカの家庭では、商売を教えるために子供にレモネードを販売させる、という話しを私自身も子供のころに聞いたことがあります。当時は何を言っているのかピンときませんでしたが、いまはその意味がはっきりと明確にわかります。つまり、おカネを稼ぐ練習、起業の練習をさせるわけです。
東大学生のスタートアップ支援をする「東京大学FoundX」の運営に携わる馬田隆明氏は、最近の著書でこれに言及しています。
日本の起業家に学生時代の話しを聞いてみても、この「ちょっとした起業の練習」をしていたという人がけっこういます。例えば、面白画像のGIFアニメを掲載するWebサイトをつくって広告収入を得ていたり、工夫してフリマでモノを売ってみたり、友だちに自作の試験対策プリントを売っていたりと、自分のアイデアでお金を稼ぐ経験です。中学・
「成功する起業家は「居場所」を選ぶ」より引用
高校の時からこのような経験をしていたという起業家も多く、驚かされます。
実は、有名な企業の成功ストーリーには、経営者のこのようなエピソードが含まれていることが多いです。
Microsoftを創業した「ビル・ゲイツ」はポーカーで最初の事業資金を作ったと言われていますし(時効?)、Airbnbの創業ストーリーにはシリアル、つまり、お菓子をつくって売っていたエピソードが出てきます。
本編の事業とあまりにもかけ離れていると人間関係に支障をきたすこともあるかもしれません。チームメンバーには十分説明して理解をえながら挑戦してください。
手持ちの能力・スキルから探す
レモネードを売るのもよいのですが、もう少し本業のビジネスに近いことをやって、できればそちらの役に立つようなことで、おカネを稼ぎたいです。
たとえば、スマホアプリを開発するテック・スタートアップであれば、小さなプログラムを開発して少しだけ収入を得ることを試してみるのは価値があります。
iPhoneやAndoridのスマホアプリでは、市場が大きいもののライバルが多すぎて小さなプログラムで勝負する土俵・マーケットがなかなか見つからないでしょう。
しかし、たとえば、スマートスピーカーのカスタマイズ・プログラムであれば、スマホアプリほど市場は大きくなく、小さく試してみるのによい場合があります。次の記事では、「Amazon Echo」で動く「Alexaスキル」のアプリ開発でお金が稼げるかどうかを書いています。
「Alexaスキル」開発は、テック・スタートアップにとってのメリットが2つあります。
- メリット1)集金を代行してくれる
- メリット2)ユーザーからの声を集めてくれる
他のシステムやマーケットを選ぶ場合にも、この2つがあるかどうか、やってくれるかどうかがポイントになります。つまり、開発以外のことをなるべくやらないで収入が入る環境かどうかです。この環境があれば、ユーザーの声を聴きながらプロダクトをブラッシュアップしていく練習ができます。
そして、大きすぎず小さすぎず、それなりの市場規模があればベストです。
【注意】請負・業務受託は気をつけて!
テック・スタートアップなら、プログラムを作ることができるんだから、企業から開発の仕事をもらってやればいいじゃん、という発想が当然出るでしょう。しかし、これには注意が必要です。
これを一般には、「請負」「業務受託」などと呼びますが、これは前述の「レモネードを売る」こととは本質的な違いがあります。つまり、起業の練習、商売の練習にならない可能性が高いのです。
- 1)お客様がほしいものをつくって→売る
- 2)お客様に依頼されたものをつくって→納める
前者は、いろいろなお客様に売れる、あるいは、繰り返し売れるので無限の可能性がありますが、つくっても売れないかも、というリスクがあります。
後者は、つくって納めたらすぐにおカネがもらえますが、1回で終わりです。可能性は広がりません。
しかし、本来やりたいサービスが伸びずにビジネスがうまく進まず、とりあえずシステム開発の業務受託で食いつないでいるスタートアップ企業はたくさんあるでしょう。もともと開発の受託業務の経験がある起業家は多いので、すぐに元に戻ってしまうワナがあります。
手金を稼ぐ練習、商売の練習にはならないと自覚し割り切ってやるならかまいませんが、断る勇気が必要なケースもあるでしょう。
まとめ
ゼロから起業するときに必ずぶつかる壁である「手金」を得るにはどうしたらよいか、事例をあげながらまとめました。
お役に立てば幸いです。
コメント