今回は、企画書を書くときのお手本になるような事例・サンプルを紹介します。
「企画書の基本的な形式・セオリー」にマッチするようなステキなお手本を、その探し方とともに紹介します。
【意外と難しい?】企画書のお手本探し
企画書は、それ自体を表に出すことがあまりありません。
なぜなら、企画書とは、企画するヒトとその提案を受けるヒトとの間のみでやりとりされるもの、1対1のコミュニケーション・ツールであるからです。
企画提案を受けるヒト【だけ】に理解されればOKで、そこには公にできない機密情報が含まれるケースも多いでしょう。ただし、受ける側が大企業である場合、その社内の多くの人に受け入れられ理解される必要から、普遍性が出て外に出てくることもあります。
さらに、企画する側は、企画書を見せてしまうと手の内を明かすことになるので、積極的に公開したくはないでしょう。
また、実効性の高い優れた企画書には、「戦略」が書かれています。「戦略」は表立ってアピールするものというよりは、内部に持って中長期的に実行してくものです。
このようにいくつかの理由があって、企画書の書き方とともに、優れた企画書のお手本は世の中にあまり出ていないのです。
ときどき出てくる企画書特集
「あの(有名な製品の)企画書を集めました」という感じの特集記事や雑誌・書籍が出てくることがあります。
たいていはかんじんなところが書かれておらず「骨抜き」状態になっている印象で、あまりおもしろくありません。理由は前述のとおりで、おもしろい部分は機密事項になってしまうからでしょう。
また、形式やデザインは奇抜なものが含まれていて、会社で普段使いするお手本にしたくなるような事例が少なくなる傾向にあります。特集記事としてのおもしろさを追求するので、当然といえば当然です。
「企画書の基本的な形式」に従っているお手本探し
以前の記事で、企画書の基本的な形式、セオリーを紹介しました。
- セオリー1)紙の使い方は、「A4横」が基本
- セオリー2)1ページに1メッセージ
- セオリー3)結論を先に、理由をあとに
- セオリー4)同じ位置に同じものを配置
さらに、ページの要素として、ページのタイトル、ページ番号 、提案者のロゴ、コピーライト表示を1mmたりともずらさず同じ位置に必ず入れることを紹介しました。
デザインについては、極力シンプルにすると無難であること、たとえば、利用する色の数を極力減らして(できれば3種程度)、装飾をできるだけ減らすことも紹介しました。
今回は、この「企画書の基本的な形式・セオリー」にマッチするステキなお手本を、その探し方とともに紹介します。
企画書のお手本・サンプルを紹介
では、前述の「企画書の基本的な形式・セオリー」にマッチするお手本を紹介します。
公開されていること、いつでも探せて見れることを考えた結果、次の2つのキーワードで検索することとしました。
- 媒体資料
- 決算(決算説明会資料)
「媒体資料」とは、広告を載せる側(媒体)が広告を出したい人のために作成する資料です。
「決算説明会資料」とは、年に1度、株主に対して会社の説明をするときの資料です。上場企業であれば、決算の詳細な情報とともに、それをまとめたわかりやすい説明資料が作られます。
では、具体的に見ていきましょう。
Yahoo! JAPAN媒体資料
最初に、ヤフーの媒体資料をみてみます。
オススメ検索キーワード:「ヤフー 媒体資料」
「Yahoo! JAPAN 媒体資料(PDF)」をダウンロードしてみましょう。
赤がメインで一見派手な印象ですが、じっと眺めていると、前述の基本的なセオリーがカンペキと言えるほどに守られていることがわかります。まじめさ、几帳面さがじわじわと伝わってきます。
数字が変わっていくだけかと思いきや、意外と2年単位ぐらいでリニューアルされます。
ときどきチェックすることをオススメします。
Gunosy の決算説明会資料
ここからは、決算説明会資料の実例を見ていきましょう。最初はニュースアプリで有名な「Gunosy」です。
オススメ検索キーワード:「Gunosy 決算」
上場企業のコーポレート・サイト(企業の公式サイト)には必ず「IR情報」、つまり、決算資料や上場するときの有価証券報告書が載っています。
ここで取り上げたいのは、この中でいちばんキャッチーでわかりやすい資料である「決算説明会資料」です。(企業によっては、資料を使ったプレゼンテーションを動画公開していることもあります。)
たとえば、「2021年5月期 決算説明資料」をみてみましょう。
基本的なセオリーがきちんと守られていて、読みやすさをきちんと考えた控えめでやさしさを感じるビジュアルにまとめられています。
いろいろ見比べると気がつくのですが、この資料は不思議なサイズ(25.4 × 19.05 cm)で作られています。従来のA4・A3比率ではなく、昨今のTV画面に合わせて16対9で作られることも多いのですが、それとも違っています。説明会会場都合なのかもしれませんが、理由は確認できませんでした。
Wantedlyの決算説明資料
次に、「Wantedly」の決算説明資料です。
オススメ検索キーワード:「Wantedly 決算」
たとえば、「2021年8月期Q3」の決算説明資料をみてみましょう。
シンプルに美しく仕上がっていて、普段使いの企画書作りにパク・・・参考になるところがいくつもあります。
SMBCグループの資料
ネット企業ばかりでは説得量に欠けるかもしれませんので、まったくの別業種事例として、三井住友銀行を紹介します。
オススメ検索キーワード:「SMBC 決算」
上場している組織は「三井住友ファイナンシャルグループ」という名前で、超大企業のためにIR情報としての資料がたくさんありとまどいます。
ここでは、お手本として「投資家説明会のプレゼンテーション資料」をみてみましょう。
前述の事例に比べて、1ページの情報量が多く、比較的複雑な内容をモリモリで説明しているにもかかわらず、読みやすく仕上がっています。
【参考】「セオリー」をわかりやすく解説する良本
比較的最近出版された本のなかから、今回サンプルとともに解説した「基本的な企画書の書き方の形式・セオリー」がうまく表現されている書籍を紹介します。
Amazonのクチコミをみても、非常に評価が高いです。わかりやすいですからね。
まとめ
「企画書の基本的な形式・セオリー」にマッチするステキなお手本、普段使いの企画書にパク・・・参考となりそうなサンプル資料を、その探し方とともに紹介しました。
世の中にあまり出てこない性質を持つ企画書も、知識を得て観点を変えれば、お手本をたくさん探せることがわかります。
お役に立てば幸いです。
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