1990年代に「アジャイル」という開発手法が現れ、小さなチームから大企業のプロジェクトまで、一般的に使われるようになりました。これに比較して従来型の開発手法を「ウォーターフォール」と呼びます。
今回は、WebサービスやWebサイトをつくるときに、お客様と直接会話・コミュニケーションする立場の営業やプランナー、ディレクターがおさえておくべき「アジャイル」と「ウォーターフォール」の違いについてコメントします。
「ウォーターフォール型」は、事前に決めたものを一気に作る
「ウォーターフォール型」は、事前に決めたものを一気に作ります。当然ながら、納品、リリースも一度に行われます。
とてもわかりやすかったのがこちらの図です。
「ウォーターフォール型」は、企画、設計して全部決めてから、実装つまり実際にモノを作り、テストしてリリースします。
「ウォーターフォール型」の課題
そこで問題になったのが、こういうものがほしいと決めてから、実際にできあがるまでに、時間がかかることです。たとえば、企画からリリースまでに半年、あるいは、1年かかってしまう場合があります。
しかし、世の中の変化がどんどん早くなっていってしまい、つくっている間に、世の中が変わってニーズが変わってしまうことが多発するようになったのです。
社内で利用する業務システムの現場においても、世の中の変化に応じて業務が変わってしまうスピードが、開発期間の長さとバランスしなくなった、と言えます。
このような背景の中で「アジャイル」が出現しました。
「アジャイル型」は、 小分けにて少しずつ納品・リリース
アジャイル型は、上述の図にも表されているとおり、全体の機能を小分けにして、企画→設計→開発→テスト→リリース、の業務を何度も回します。つまり、小分けにて少しずつ納品・リリースしていくことになります。
依頼者、お客様の側はそのたびにリリースしたものを確認します。
もし修正したくなれば、次の開発(イテレーション)にその修正内容を混ぜてもらいます。このような段取りをとることで、ニーズが変化しても開発中にそれに対応できるようになるのです。
「ウォーターフォール型」ではお客様はできあがるのを待っていればよかったのですが、「アジャイル型」では開発チームに付き合い、何度もレビューしてフィードバックすることが求められます。
ウォーターフォール型とアジャイル型の比較
このような前提で、「ウォーターフォール型」と「アジャイル型」の比較をやってみましょう。
最初に決めるもの
ウォーターフォール型では、最初につくるモノを決めます。設計図を書くことになりますから、当然、紙の上での決定です。
アジャイル型では、最初に優先順位を決めます。開発の難易度などではなく、ユーザーにとっての貢献度、ビジネス価値で、優先して先に作るものを、最初の段階で決めます。
納品、リリース、公開
ウォーターフォール型では、最後の段階ですべてを一気に納品します。
アジャイル型では、機能単位、あるいは、ユーザーストーリーの単位、業務フローの単位などで、小分けに分割して逐次納品します。
成果物の変更
ウォーターフォール型では、当初決定したものをつくるので、決まった成果物を変更する場合は別費用を見積もります。
アジャイル型では、お客様のレビュー、フィードバックをうけて、どんどん変更することを見越して開発を行います。よって、成果物は変わっていく前提です。
開発効率
ウォーターフォール型では、最初に決めたものを一気に開発しますので、開発効率がよくなります。
アジャイル型では、ビジネス価値を優先して変更していきますので、修正が発生することを前提として開発します。
費用
ウォーターフォール型では、納品物に対する費用を支払います。システムの費用です。
アジャイル型では、納品物に対する費用という形がうまくマッチしなくなるでしょう。一定期間に提供したサービスに対する費用とするほうが、実態に合うようになります。
開発会社側よりは、依頼者・お客様側が、納品物、つまり、モノに対する支払い、ということにこだわることが多く、このあたりの意識の変化が、アジャイル型の成功事例が増えていくためのカギになるでしょう。
また、このあたりの費用感覚を置いたまま、外注ではなく社内でのシステム開発が増えていくかもしれません。社内人員であれば、変更・修正でかかる費用の問題を社内で解決することになるからです。
まとめ
ネットサービスの開発だけでなく、請負受託型の企画開発や業務システム構築をも念頭において、 「ウォーターフォール型」と「アジャイル型」について、比較してみました。
お役に立てば幸いです。
コメント