昨今のトレンドとして、おカネそのものやおカネの流れ、どこにどう渡されているのかが見えなくなってきています。
その中でも特にわかりにくい、インターネット広告のおカネの流れについて、シンプルな形で紹介します。
目に見えないおカネの流れ
たとえば、Suicaなどの電子マネーは「ピッ」とやると支払いが終わってしまい、おカネそのものが見えません。自分のカードから改札口の機械におカネが吸い込まれたことはわかります。
電車に乗ると、中吊りの紙の広告や窓に貼り付けられたシールがたくさんあり、最近はディスプレイがどんどん増えてTV CMのような映像がずっと流れています。これら広告もおカネの流れが見えません。しかし、電車を動かしている会社に対して、宣伝したいヒトがおカネを払っているんだろう、ということはなんとなく想像できます。
よって、だれからだれにおカネが渡っているのかを考えると、見えないおカネが見えてきそうです。
ネット広告にかかわる4つのプレイヤー
インターネット広告では大きく分けて次の4種類の人たちが関わっています。
- 広告主
- 広告を配信するシステム
- 媒体
- 広告を見るヒト
1つずつ見ていきます。
広告主
業界の人からは「ヌシ」と呼ばれます。広告を出すヒト、つまり、宣伝したいヒトのことです。
製品やサービスを伝えて、売上をあげたりお客様を増やしたりしたい企業などの組織で、たまに個人で出していることもあります。
広告の中にその製品やサービスが表現されているので、誰が広告主なのかはわかりやすいです。
広告を配信するシステム
広告を配信するシステムは、インターネット広告に特有の仕組みです。
広告主から、広告の中身(画像や動画、文字やリンク先など。一般に「クリエイティブ」と呼ばれます。)を受け取り、同時に出稿費用、つまり、広告の代金も受け取って、広告を送り出すシステムです。
広告を出す側、あるいは、その代行を行う広告代理店など、限られた人たちしか触れる必要がなく、それなりに複雑で専門的なツールになっているので、一般的にイメージしにくい部分です。
Google、ヤフー、DSPサービス各社などが、広告を配信するシステムを提供しています。
媒体
ネット広告に限らず、広告が出る場所、つまり、テレビやラジオ、新聞、雑誌など含めて、すべて「媒体」と呼びます。
インターネット広告では、広告が出ている場所、つまり、ホームページ・Webページやスマホアプリなども、すべて媒体と位置付けられます。
これは目に見えるのでわかりやすいです。
Googleやヤフー、楽天などたくさんのユーザーが見るサイトにはほぼ広告が出ていますし、各ブログサービス、Webメディアなどにも広告が貼られています。
あえていうと、Googleやヤフーは、広告を配信するシステムと巨大な媒体の両方をもっている会社です。
広告を見るヒト
我々です。
おカネの流れをまとめると
これら4つのプレーヤーとおカネの流れをまとめるとこのような形となります。
1つ目のルートは、広告主から、広告を配信するシステムを介して、媒体におカネが流れます。
Googleやヤフーのサイト内では同じ企業なのでその支払いが外側には見えませんが、独立したDSPサービスを利用した場合には、いくつかまとまった媒体(広告ネットワークと呼びます)に配信されるために、配信された回数などでおカネが分配されて流れます。
2つ目のルートは、広告主から直接媒体に支払われる形です。
広告の掲載を管理したり支払いをチェックしたりするのはとてもたいへんなので、この形はものすごく少なくなっています。「純広告」「純広(じゅんこう)」と呼ばれる広告ではこの形になっていることがたまにあります。
あれ……広告代理店は?
有名な電通や博報堂などの「広告代理店」が登場しないことを疑問に思われたかもしれません。
広告代理店は、上図の「広告主」から出ている線の間に入ります。
この部分は業界慣習などで複雑なルートになっていることもありますが、本質的なおカネの流れには入れないほうがわかりやすいと考えて、図から外しました。
広告代理店は、どんなシステムや媒体に、どんな広告をどれぐらい配信するのがよいか、あるいは、ネットではない他の媒体も含めて、どの部分にどれぐらいおカネをかけると広告主の事業がうまくいくのか、多種多様で複雑な広告媒体をうまく組み合わせて、あるいは、その手配をスムーズに行うことで、巨大な付加価値を出している企業です。
まとめ
インターネット広告のおカネの流れを、できるだけシンプルにわかりやすく紹介しました。
お役に立てば幸いです。
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