会議の進行役、ファシリテーションは、Webディレクターやプランナーなど「プロジェクト・マネジメント」を行うものに必須のスキル・能力です。
Webサイト制作の現場を中心に、いろいろな組織でファシリテーションを経験してきたなかから、共通の内容をまとめます。
会議の進行役、ファシリテーターに求められる仕事
会議の進行役、ファシリテーターに求められる仕事、つまり、会議の進め方・やりかたは、企業のカルチャーや部門長の方針によって、大きな違いがあります。
仕事の内容、つまり、業種や職種によって会議の質や求められるものが異なるからです。また、会議の内容伝達は、その組織の公式なコミュニケーションを体現するため、企業カルチャーにも大きく左右されます。
職種のことなるヒトたちの集団:Webサイト制作の現場
Webサイト制作の現場では、異職種、スキルの重なりがお互いにあまりないメンバーが集まります。
メンバー全員にとってできるだけ短く有益な時間と思われるように、会議の内容をコントロールしなければなりません。会議に参加するモチベーションが下がれば、それはこのプロジェクトでの仕事の質に直結します。
会議の仕切り、段取り
このような状況の中で、プロジェクトマネージャーに求められる会議の仕切り、段取りをまとめます。
日程の調整
日程の調整は、プロジェクトキックオフ、つまり、プロジェクト全体の会議の初日に、全員の都合を聞いて相談・合意しながら決めるのが、一番スムーズです。特に、人数が10名を超えるような場合、全員の意見をすり合わせできる場がこのタイミングしかないケースもよくあります。
キーマン、クライアントなど強い発言力をもつメンバーがいる場合は彼らの都合に合わせることになります。
メンバーが同じ社内で完結していて、会議の調整方法が決まっている場合はそれに従いましょう。スケジュール・カレンダーシステムの空きに入れてよい、というルールになっている場合はスムーズです。
週1回1時間程度、曜日と時間帯を決めて行うケースが一番多いでしょう。時間帯が決められない場合は、会議の終わりに次回の日程を必ず決めることが重要です。
議題(アジェンダ)の設定
忘れられがち、サボりがちなのが、事前に何を話すか決めること、つまり、議題・アジェンダを設定することです。
(※組織によっては、アジェンダ、を議題ではない異なる意味に使うようですが、ここでは話し合う予定の議題のことを言います。)
会議を効率よく運営するためには、事前に何を話すかをきっちり決めておくことがとても大事です。その場の思いつきで話題がそれて結論がわからないまま終わるようなら、ファシリテーション失敗です。
また、事前に通知してこれを話すという意思をはっきり表明することで、特に目上のヒト、上司、クライアントをしっかりと牽制します。また、話したいことは事前に言ってほしいという気持ちを、会議中にもなんらかの形で伝えましょう。
司会進行
まず冒頭、事前に連絡したアジェンダを軽く説明しましょう。
これで今日の議題全体とそれぞれの項目の重要度・緊急度をメンバーに伝えます。
議論が長引きそうなもの・重いものを先にやるか、あるいは、連絡程度の軽いものを先にやるかは、議題の内容やメンバーの性格によって、柔軟に決めましょう。当日に議題を変えることは前述の意思表明の面からも避けるべきですが、議題の順序はその場で変えても問題ないでしょう。
会議当日の進行で達成すべきなのは、次の2つです。
- 1)時間内に終わらせること。
- 2)結論を出す、出させること。
時間をオーバーすると、メンバーの気が散り、内職をされたりすると、余計に結論が出なくなります。
また「結論が出なかった」ということも一つの結論です。この場合は、次のアクションを決めましょう。たとえば、別途打ち合わせを設定する、次回の会議の議題とする、追加調査の報告を別途あげてもらう、などです。
決まるまでやる、というのは会議の進行役としては全力で回避するべきです。その場合は、別途決まるまでやることを目的とする時間を設定するほうがよいでしょう。
議事録の作成
議事録の作成は大事です。
なぜなら、記録がなければ会議自体がなかったことになります。みんなで雑談をして無駄な時間を過ごした、ということになるのです。
議事録の内容や作成の段取りは、企業カルチャーによって大きく異なります。内容を極力短くまとめさせる組織もあれば、すべてを書き下すことがよいとされる組織もあります。一般的には以下の要素を網羅すべきでしょう。
- 1)日時、場所
- 2)メンバーの出欠
- 3)議題(アジェンダ)
- 4)それぞれの議題の結論・次のアクション
- 5)議論内容の要約
Web制作の現場では、ファシリテーターがすべてを行うこともあります。つまり、共有ファイルに直接その場で議事録を書きながら、司会進行をしつつ資料の投影をしながら、結論を決めていく、という感じです。
共有ファイルにその場で書き込んで、それをプロジェクタに投影すれば板書になります。さらに、その共有場所が事前に連絡されていれば、それがそのまま議事録の配布にもなります。
議事録の形式にこだわりがあまりない組織であれば、このやり方で十分でしょう。
議事録の配布
前述のような段取りで、会議が終わった瞬間議事録作成と配布が完了していれば、配布の手間は必要ありません。しかし、その場合も、暗黙の了解・内容の承認をとる意味で、形式的に議事録を配布するメッセージを出しましょう。
言った言わないを避けることが、実は議事録の重要な役割であるからです。議事録に書いてあってしかも配布・共有されていれば、動かぬ証拠となります。
次回の日程連絡が必要な場合は、議事録に含めるか配布時に追加して伝えましょう。
まとめ
会議の進行・ファシリテーションの基本的な段取りを紹介しました。
お役に立てば幸いです。
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