「リーンスタートアップ」という手法が日本で広く知られるようになって数年が過ぎています。
聞いたことはあるけどぼんやりとしか把握していない、これからしっかり勉強して実践したい、と思っているかたに、3つに絞るならコレ!という3冊を紹介します。
「リーンスタートアップ」エリック・リース著
「リーンスタートアップ」の教祖とも言える「エリック・リース」が出したバイブル的な本です。
そのあとに出ている「リーンスタートアップ」の本は、すべてこの本の焼き直しか、あるいは、各論の部分を広げて書き下したように見えるほど、内容濃いめの1冊です。
現場にいなかったので推測でしかありませんが、おそらくは「リーンスタートアップ」に似たことをやっていたヒトが当時もシリコンバレーにはたくさんいたのだろうと推測されます。
しかし、それに名前を付けてある程度体系化し普及させた功績は、非常に大きいのでしょう。
名前の由来は、なんとトヨタ生産方式であることが第1章の冒頭部分に明記されています。
“トヨタで大野耐一と新郷重夫が開発した「リーン生産方式」にちなんだものだ。”
「リーン・スタートアップ」より引用
あの有名な「5回のなぜ」にも言及されています。名古屋生まれの私にとっては、シリコンバレー発のアイデアが地元発のトヨタにルーツがあることはなんともいえない感慨があります。
本書を通して強調されているのは、「構築」→「計測」→「学習」のフィードバックループを順調に回す、高速に回す、ということです。それぞれ、
- 構築=アイデアを製品にする
- 計測=顧客の反応を計測する
- 学習=ピボットするか辛抱するかを判断する
という意味です。
これだけみると「PDCA」と似ていますが、もっと徹底してスピード重視するイメージです。
「起業の科学 スタートアップサイエンス」田所 雅之 (著)
シリコンバレーのスタートアップを体験した日本人がすばらしい本を出しました。
エリック・リースの主張を、実務的にうまく落とし込んでまとめています。本書冒頭の記述によれば、日本でのスタートアップ失敗事例をもとにブラッシュアップされているそうです。
この本のもととなったのは、ネット上でバズったスライドです。すべて公開されています。「スタートアップサイエンス」でググるとすぐに最新版が出てきます。
Startup Science 2018完全版 (2550 page)
アイデアが生まれるところから、それを練り込んで磨いていって、事業を拡大していくフェーズの直前までを丁寧に網羅しています。
「Airbnb Story 大胆なアイデアを生み、困難を乗り越え、超人気サービスをつくる方法」リー・ギャラガー (著)
前述の2冊とはまったく違い、ノンフィクション小説の形になっています。
「Airbnb」というシリコンバレーのスタートアップとして、あるいはYコンビネーター卒業生としての大大成功事例を、小説仕立てでわかりやすいストーリーにまとめています。
この本で一番感動するのは、ゼロから3兆円なっても、いまだに創業者の3人が現役で経営していることです。
こういう事例は実はあまりありません。
創業と大企業の経営はあまりにも違うので、途中でプロ経営者を雇い入れることが多いのです。たとえば、Google社はエリック・シュミットを招き入れました。Apple社がジョン・スカリーを招き入れて、スティーブ・ジョブズがクビになったのは有名な話しです。
企業規模とともに器を広げて成長していく姿がうまく描かれていて、これから起業しようという人たちを勇気づける内容です。
また、本の帯の裏の記述がとてもよかったので、紹介します。Amazonなどにはこの画像がありませんので、自分で撮影しました。
おそらくは日本の編集者によるものと思うのですが、スタートアップの成功法則がとてもうまくまとまっています。
事業は常に忙しく混乱していますので、たまにこれを見つめると原点に帰ってこれるような気がしました。
まとめ
「リーン・スタートアップ」をやるならコレ!という書籍を3冊だけ、独断と偏見で選びました。
お役に立てば幸いです。
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