今回は、講義や話しの内容そのものにはふれないで、その形式ややり方、話し方の部分で、寝かせない講義を実現するためのテクニック、コツを紹介します。
学生への講義での体験を元にしていますが、社会人向けセミナーや社内でのプレゼンなどにも使える内容です。
基本的に、学生は寝る
学生は寝ます。
バイトに勉強にサークル活動に、とても忙しいからです。それが50人も集まったら、それぞれがそれぞれの理由で疲れています。
もし、ランチの直後という魔の時間帯に、心地よい声でありがたいお話しを何分か聞かされたら、眠るなというほうが無理です。
それでも寝かせないのが講師の仕事
しかし、寝かせない講義、おもしろい話しを展開し、ヒトそれぞれの理由をとびこえて思わず聞いてしまう演出をするのも、講師の仕事です。内容そのものをおもしろくするのは大事ですが、ヒトとヒトが相対して話しをする場合内容そのもの以外の手がかり・情報がものすごくたくさんあるのも事実です。
私自身、毎週講義をしながら「魔の時間帯」に沈没していく学生をまのあたりにして、悩んでいました。なんとかうてる対策はないのかと探していたところ、救世主のように眼の前に現れたのがこの本でした。
タイトルから連想するイメージに反して、すぐに使えそうな小技(失礼!)がたくさん書いてありました。今回はこの本のなかから、私自身が実際に試して効果のあった技、コツを紹介します。
効果確認済み! 寝かせない講義のコツ
「私はカリスマ講師」と自分に言い聞かせる
これは心理学他の世界では「アファーメーション」と呼ばれる手法です。「アファーメーション」の効果、言っているとそのとおりになる、という理屈はここでは省略します。
このブログは私の講義を聞いている学生が読む可能性もあるのでとても恥ずかしいのですが、大事なのであえて先頭に持ってきました。この行動が、モチベーションの源泉となりくじけそうなときの反発エネルギーのモトになります(少なくとも3割ぐらいは)
カンタンですのですぐやりましょう。
話しにメリハリをつける
大きくしたり小さくしたり、ゆっくりにしたり急いだり、パワフルに話したり静かに話したり、緩急をつけながら話すように気を使うことです。
講義の準備をきちんとしていればしているほど、意外と淡々と話してしまうのです。すると、講義は子守唄に変わっていきます。
ハキハキと、パワフルに、情熱的に話す
前項のメリハリと似ていますが、基本的に普段話すときの1.5倍ぐらいの感情表現を目指します。大げさに感情的に話します。
情熱的と言ってもよいでしょう。
また、話すスピードも、1.5倍ぐらいの速さでテンポよく話します。早すぎると聞き手からクレームが入る場合もあるので、「カリスマ講師 THE バイブル」には、聴衆に対して話しの冒頭に、速く話すことの断りを入れておくことが勧められています。
常に動き回る
せいいっぱい歩き回り動き回れということです。
それまでの私は、まさしく固定されたマイクと教壇に向かって棒立ちで話していましたので、この指摘には衝撃を受けました。
ただ、動き方には研究の余地がありそうです。「研修・ファシリテーションの技術/広江 朋紀 (著)」という本には、手の動かし方についての記述があります。
手を動かすときに、上段で動かす場合と、中段で動かす場合、下段で動かす場合で、伝わるニュアンスが変わってくるそうです。
初心者は、大きくスピーディーに動くように気をつけるのがよいと思いました。
そして、動き回るためにできる、カンタンな工夫が2つあります。
動き回る工夫1)ワイヤレスマイクを使う
これは教室・部屋の側に設備が必要ですが、もしワイヤレスマイクが使えるなら迷わず使いましょう。
ピンマイクならじゃまにならずに楽ですが、カラオケ風の大きなマイクになる場合は持ち方に気をつけましょう。
には、ワイヤレスマイクの正しい持ち方が紹介されています。口から12cm離した位置にマイクの頭がくるようにして、マイクの真ん中あたりを持つのがよいそうです。また、「腹式発声」も勧められており、腹筋を鍛えて口を大きく開けるようにすると、よりよい声が出るそうです。
動き回る工夫2)スライド送りをワイヤレスに
「ワイヤレスプレゼンター」と呼ばれる製品があり、パワーポイントなどのスライド資料をめくる操作をワイヤレスで行えます。ここでは、私が実際にリピートしている製品をご紹介します。
ワイヤレスプレゼンターのなかでは、安めでコスパがよく、頑丈で小さくて手に収まります。表面のアルミ色(銀色)になっている部分をなでるとマウスのポインタが動かせますが、制御が難しいので使っていません。あくまでページ送り専用と割り切ると、よい製品です。
「ワイヤレスマイク」と「ワイヤレスプレゼンター」の2つがあれば、あとは黒板やホワイトボードへの板書をする以外に、動きを成約するものはありません。ガンガンに動き回りましょう。
板書は、筆圧強め、文字を大きく、すばやく!
これも言われないとなかなかわからない指摘です。
教室・部屋の大きさに応じて大きく書くことはできても、弱々しくゆっくり書いてしまいます。これは眠気を誘いますので、筆圧強めで、文字を大きめで、すばやく書くと、少し迫力が出て、情熱的に見える効果もあります。
内容に手を入れる
ここまでのことをひっくり返すようですが、表向きのテクニックだけで寝かせないようにするのは邪道と言えるでしょう。やはり、内容に手を加える必要があります。
とはいえ、 話す順番などちょっとした工夫で劇的な睡眠打破効果があるので、これを紹介します。
ワークを入れる
短ければ15分、長くても30分に一度は、聞いている側が何かする、手を動かすような作業を入れましょう。
振り返りとか、気づきを隣にすわっている人と話すとか、カンタンなことでもかまいません。何かさせられると、眠気もスッキリします。
「カリスマ講師 THE バイブル」では、数字クイズや○×クイズを用意することも紹介されています。
話す順番を変える
- 受講者の知りたいことを先に、
- 講師の話したい・言いたいことを後に、
します。
結論を先に言ってしまいたくなるので、どうしても講師の言いたいことが先に立ちます。悪意などあるわけもなく純粋に、講師はこの講義が終わった先を見ていて、たとえば、「学生の今後の人生に役立つことを強く言おう」などと思ってしまいます。
一方、学生が知りたいのはすぐ使える手先のテクニックだったりします。学生の側は意外と先のことは考えておらず、大学で言えば単位がとれるかどうかが関心事だったり、直面させられたワークや宿題をこなすことが中心だったりします。
そういう先の見えない聞き手にも一石を投じたいと思うのが教育者でしょう。そんなとき、一歩下がって話す順番を変えることで、すっと入ることがあります。
これはシンプルですが意外と難しいです。私自身はほとんどできていません。
理論・体系を事例でサンドイッチにする
- 事例
↓ - 理論や体系
↓ - 事例
という順序で話すと、とてもわかりやすくなります。
これもたいていは、先に理論を全部言ってしまいたくなるのが人情です。全部理論を言ってから、事例をまとめて話したほうがスッキリしている気がします。でもそれについてこれる聞き手はとても少ない、ということでしょう。
スーパーなお手本:ハーブ・エッカーのセミナー動画
これまでの内容をあるところでプレゼンしたあと、このオススメ項目をほとんどすべて網羅・実践しているプレゼンを見つけましたので、紹介します。
ハーブ・エッカー氏のセミナー、プレゼンテーションです。
内容もとても役に立つと思いますが、上述のコツをすべて網羅している様子を観察しながらご覧ください。とてもおもしろいです。
ちなみに、このセミナーの内容は、ほぼそのまま書籍化されていますので、お金持ちになりたい方はこちらもオススメです。
まとめ
講師として、プレゼンターとして、人前で話すときに、お役に立てば幸いです。
コメント