2016年のアメリカ大統領選挙で、ドナルド・トランプが勝利しました。トランプは、「アメリカ・ファースト」というスローガンをかかげて全米を周りました。そのあと日本の国内政治でも「〇〇ファースト」という標語が使われて一時は新聞やテレビでもよく見かける言葉となりました。
しかし、政治の世界で使われる前から、インターネットの世界では「〇〇ファースト」という言葉がよく使われていました。
今回は、その中でも一番有名と思われる「モバイルファースト」という言葉について、まとめます。
「モバイルファースト」の意味
「モバイルファースト」の背景を一言でいうなら、「ネットをみるときにまず使うもの」はモバイルが普通になった、ということでしょう。つまり、ネット見るならとりあえずスマホ、となったということです。
ネットにつながるデバイスの変遷、経緯
ネットをみる、ネットにつながるときに使うツールには、いくつかのトレンドががありました。
UNIXワークステーション
1980年代までさかのぼれば、インターネットにつながるには、UNIXというOSが動くワークステーションと呼ばれる百万円単位のコンピューターを使うことが普通でした。
パソコン、Windows95以降
その後、Windows95の登場などを背景に、パソコンで利用することが普通になり、それが20年ぐらい続きました。
ガラケー、iモード
この間に、いわゆるガラケーが出てケータイ専用のインターネットコンテンツも普及しました。その他いろいろなモバイル用のデバイスが出ましたが、ネットにつながるときの主流、つまり、パソコンを置き換える、ということにはなりませんでした。
iPhone、スマートフォン、スマホ
2007年にiPhoneが発売され、そのあと「スマートフォン」というマーケットが勃興しました。
革新的だったのは、パソコンでみるコンテンツをそのままiPhoneでもみることができた、ということでした。iPhoneに付属しているブラウザ「Safari」の性能が非常によく、これがネットにつながる主役を交代させた背景になりました。
そして、「パソコンがなくてもなんとかなるね」という状況から、スマホ用のコンテンツを用意するようになりました。「レスポンシブ・デザイン」という技術が普及し、スマホアプリの利用が爆発的に広がっていきました。
スマホがパソコンを追い抜いたXデー
「普通、スマホでみる」という状況になったのはいつか、ということについては、立場や注目するポイントで異なる見解が出ます。
総務省の調査
総務省の調査では、2017年に初めてスマホがパソコンを追い抜きました。
ネット広告
一番大きなおカネが動く、という意味では、ネット広告掲載による売上を収入の主力としている企業の動きを見るべきでしょう。まずは日本一のユーザーを抱えている「Yahoo! JAPAN」の資料を見てみましょう。
2014年度、つまり、2015年5月の決算発表のプレゼンテーション資料に、それらしき記述があります。
https://s.yimg.jp/i/docs/ir/archives/present/2015/jp150501presentation.pdf
23ページです。2013年4Qではスマートフォンからのアクセス(DUB)が47.8%、2014年4Q時点では57.6%となっています。つまり、2014年後半から2015年前半の間に、スマホのアクセスがPCのアクセス量を追い抜いた時点があったと言ってよさそうです。
6000万のユーザーを抱えるサービスであることを考えれば、これが日本国内の実測値と言えるでしょう。
Googleの「MFI (Mobile First Indexing)」
Googleが2016年に「モバイルファーストインデックス(MFI:Mobile First Indexing)」を発表しました。
「MFI」とは、モバイル(スマホ)でのページのみえかたを、検索順位を決めるための手がかりとして重視しますよ、という意味です。
これは、2016年の時点で、Googleがすでにスマホでみることが主流だと判断していた、ということを意味します。
「MFI」はその影響力の大きさをはかりながら、2018年頃から実際に検索順位に反映されているようです。
まとめ
「モバイル・ファースト」となっていった経緯、背景を、実際のデータを引きながら紹介しました。
お役に立てば幸いです。
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