今回は「リーン・スタートアップ」手法の中でスピード感を持ってできるだけ早く、手軽にシンプルに「ユーザーインタビュー」を行うテクニックを紹介します。
この記事は、Webサイトやスマホアプリをつくる前提で書かれていますが、他のサービスや製品にも応用できる内容です。
「ユーザー・インタビュー」
マーケティング、あるいは、リサーチ、市場調査の手法として、「ユーザーインタビュー」があります。1人1人に聞くことになり、効率が悪いような気がしますし手間もかかりますが、生身の人間と相対することで、得るものが多いと感じられる手法でもあります。
また、「リーン・スタートアップ」の文脈の中で「ユーザーインタビュー」が語られることも多くなりました。
「ユーザー・インタビュー」の前にコレ、準備
企画書やペルソナ、カスタマージャーニーマップ、プロトタイプなどが作成されていると、「ユーザーインタビュー」をより充実させることができます。
「ユーザーインタビュー」がユーザーを理解するための行動というように考えれば、これらの資料がそろって練り上げられていなくても、インタビューを行う価値はあります。
「ユーザー・インタビュー」の前に準備しておくと、とても役立つものと、その準備方法を紹介します。
インタビュー項目出し
インタビューで聞き取る項目を洗い出します。
1人で行うときは洗い出しのやり方をあまり考える必要はありませんが、チームで行う場合は、ブレインストーミング(ブレスト)と同じような手法を使うとよいです。
つまり、以下のものを用意します。
- 付箋
- 太めのペン
- B紙、あるいは、ホワイトボード(付箋をたくさん貼り付けるため)
ブレインストーミングの会議とまったく同じ要領で、
- 聞きたい内容
- 聞くべき内容
を、どんどん貼り付けて発表していきます。あとで整理しますのでここではアイデアの数・量を重視してください。
考えるポイントは次の例を参考にしてください:
- ターゲット、ペルソナに合っているか(属性や行動を聞く)
- 本当にその課題はあるのか(解決する課題にこまっているかを聞く)
- いまはどうしているのか(放置しているのか、別の方法で解決しているのか)
- どのぐらい解決したいか(いますぐにでも?どっちでもいい?、など)
- (このサービスやアプリを)使いたいか
- (このサービスやアプリに)不足があるとすればそれは何か。(改善点)
インタビュー項目の分類
ある程度項目だしができたら、分類作業をしてください。
分類しやすく、インタビューやヒアリングのときに意外と普遍的に使える方法があります。それは、「過去」「現在」「未来」の3つの時系列に分けることです。
たとえば、
- 過去=どんなヒトか
- 現在=どんな行動をしているか、どう思っているか
- 未来=このサービスやアプリを使いたいか
という感じで、項目を分けていきます。
実際にインタビューするときの話の順番も、「過去」→「現在」→「未来」の順に聞き取り、ヒアリングをすると相手が話しやすくなることが多いです。
ある程度分類したら、必須項目(必ず聞かなければならない項目)に赤ペンなどで印しをつけてください。話しの流れによって、予定通りすべての項目を聞けるとは限らないので、あらかじめ優先度をつけておくと、聞き忘れなどが減って生産性が上がります。
インタビューの相手を探す・決める
インタビューをする相手を探します。
狙っているターゲットやペルソナにできるだけ近いヒトを探します。
チームメンバーやもしかしたらチームのリーダーがターゲットユーザーということもあると思いますが、わざわざ「ユーザーインタビュー」を行おうとしてるのは、多角的多面的な意見や視点を取ろうとしているわけですから、チームメンバーから選んではいけません。できればこちらのやっていることに対して予備知識がまったくない状態のヒトを選びましょう。
無償、あるいは、お茶菓子程度でインタビューに協力してくれるヒトは、基本的に人柄の良いひとだと思います。そうすると、こちらのやっていることに対するなんらかの情報があると、どうしてもそれに合わせた話しをしてしまうのです。これをまったくまっさらの状態で、心理学的に表現すれば、バイアスのない状態の話しを聞く必要があります。
身近な人や知り合いベースで見つからない場合は、探し方を工夫する必要があります。SNSで告知したりなど無料でやれる範囲は限られています。ネット広告やWebページを組み合わせて問い合わせをもらって得た連絡先からお願いする方法は、ネット上でのマーケティングも兼ねて一石二鳥となるのでオススメです。(ただし、十万円単位の予算が必要でしょう。)
できるだけ会う
実際に会うのはたいへんなのでTV会議などをすぐに考えると思いますが、実際に会うのとパソコンやスマホを介したTV会議とでは、得られる情報量にかなりの差があります。また、TV会議にはお互いにある程度の慣れが必要でその意味でも難易度が高いです。
プロトタイプを見せる場合にも、会えたほうが圧倒的にスムーズですので、できるだけフットワークよく会いに行きましょう。
逆に、プロトタイプや精緻な企画等がない段階での「電話インタビュー」は、得られるものが多いので、企画の初期段階からユーザーの生声を聞いていく姿勢は大事です。
ユーザー・インタビューのために、おすすめ書籍
「ユーザーインタビュー」を行うにあたり参考になる本を紹介します。
「リーン顧客開発」は少し古めで(原著が2014年)出てくる事例は最新のものではありませんが、考え方はまだまだ使えます。「リーン・スタートアップ」の手法とともに、「ユーザーインタビュー」を深掘りしていくのに役立つでしょう。
まとめ
手軽に、シンプルに、効率よく「ユーザー・インタビュー」を成功させるコツを紹介しました。
お役に立てば幸いです。
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