「プロトタイプ」つまり、仮組みの製品、あるいは、試作品をすばやく作ってユーザー・お客様に体験させるマーケティング手法が広がっています。
今回は、その「プロトタイプ」をつくるためのツールについて、何を考えていくとよいか、選択の基準を紹介します。
「プロトタイプ」をつくる理由
リーンスタートアップ、デザイン思考、アジャイルなどの手法では、プロトタイプをつくる、ということがとても重要視されています。
ユーザーがほしいかどうかは出してみなければわからない、という考え方をベースにして、プロトタイプを作り、ユーザーに見せてフィードバックを受け入れ、改良し続けることによって、アイデアを練りイノベーションを起こすことを目指します。
いかに短い時間でアウトプットするか
プロトタイプは、最終的に作りたい製品・プロダクトとは違うわけですから、いかに短い時間で、試したいことを検証できるか、ということにフォーカスするべきです。
アイデアがイケてるかどうかがわかれば、形や見た目は最終製品から遠く離れていても問題ないわけです。
引用) プロトタイプを作るためのツール
「シリコンバレー式 最高のイノベーション(スティーブン・S・ホフマン 著)」では、プロトタイプを作るためのツールとして、以下のようなものをあげています。
- 紙とペン
- 卓上ゲームとモノポリー紙幣(日本人は人生ゲームを想像すればよいと思います。)
- 衣装とロールプレイング(小芝居、演劇をやるのでしょう。)
- ホワイトボードとマーカー
- マインドマップのソフトウェア
- コンピュータ画像とお絵かきツール
- パワーポイントプレゼンテーション
- フローチャートのソフトウェア
- 3Dアニメーションツール
- ビデオカメラ
- 写真
- プロトタイプのソフトウェア
- オープンソースのソフトウェア
今回はここからもう少し絞り込んで、ビジネスモデルよりは目に見えるWebサービス、Webサイト、Webページ、スマホ用のWebページ、スマホアプリなどを制作、開発する現場を想定して、プロトタイプを作るためのツール、プロトタイピングツールをまとめます。
ペーパープロトタイピング(紙芝居)
これが具体的にどういうものなのかは、Googleで画像検索するのが一番カンタンです。
要するに、出てくる画面の紙芝居を作ります。
目的は、ユーザーからフィードバックを受けることですから、対面で話しをしながら紙芝居をすることを考えると、手書きで十分に伝わります。すべてを完璧に書き込む必要もありません。
これを押したら→これに変わる、みたいな感じで紙芝居をしてあげれば、少なくとも、
- このユーザーがほしいかどうか
- どこがよくてどこが悪いと思うか
は、判断できるはずです。インタビューやヒアリングが成立しなければ目的が達成されませんが、最短の時間で作ることを目指し、完璧に作りすぎないことも大事です。
これはもちろん、チームの中でサービス自体を検討、設計するときにも使えます。
eb制作の世界ではこの用途で利用する場合、「ワイヤーフレーム」「モックアップ」「モック」などと呼ばれることもよくあります。ペーパープロトタイプの精度をあげていけば、それがそのまま設計図になるはずです。
この他、ポストイットを切り貼りしながら作ったり、ホワイトボードに書いていったりする手法もあります。自分の現場に合わせてぴったりな方法を選びましょう。
スライドをつくる
アプリクリックしたら次へ行く、というアクションで思い浮かぶのは、ビジネスシーンで多用されるスライド資料を作るためのツールです。つまり、
- Microsoft PowerPoint(パワーポイント)
- Google Slide(スライド)
- Apple Keynote(キーノート)
などです。Google Slideは無料で使えますし、KeynoteもMacユーザーなら無料です。
スライド1枚に、画面1個ずつ作成してき、紙芝居を作ります。
スライド資料を作ることに慣れているヒトは、手書きより楽に作成や修正ができます。プランナーやディレクターはもちろん、営業職にも向いているツールかもしれません。
プロトタイピングツール専用のサービス、SaaS
このようなプロトタイプをつくるための、専用サービスがあります。
リーンスタートアップやアジャイルの普及にしたがって、このようなサービスがどんどん増えてきました。
この手のサービスでは、クリックするアクションを細かく設定できたり、スマホでアクセスするとそのまま動いて、いかにもアプリ開発したかのように見せる機能があり、チームや上司への説明はもちろん、ユーザーインタビューやヒアリングもスムーズにしてくれます。
手書きからの移行もカンタンにできることが多く、ペーパープロトタイピングからこの種のツールに移行するような工程、段取りで仕事をする現場も多いです。
ほとんどすべてのサービスが、無料である程度使えますので、現場で実際に使ってみてぴったり合うものを選んでいくのがよいです。
Prott
日本国内では比較的先行者で、有名です。画像を取り込んでフローを作ったら、動くプロトタイプが出来上がります。チームで共有してコメントを付けたり、プレゼン用のデータを作ったりする機能もあります。
Adobe XD
Adobe CCにラインナップされているツールです。無料版もあるので、Adobe CCを契約していなくても使えます。Adobeツールを使い慣れているデザイナーやコーダーは習得が早いでしょう。
Origami Studio
Facebook社が出しているツールです。インタラクション、つまり、スワイプやスライドなどのスマホ独特のアクションが比較的細かく設定できます
iOS・Android用のパーツがすでに登録されており選ぶだけで使えます。実際にスマホアプリを作った場合にできるだけ近い状態を作ることを目指しているツールと言えそうです。
まとめ
プロトタイプをつくるためのツール、「プロトタイピングツール」について、これを利用するための考え方と、具体的なツールの事例を紹介しました。
お役に立てば幸いです。
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