ネット業界で生き残るコツは、勉強し続けながら、波に乗ること

ストーリー

インターネットの仕事を始めてから20年の月日が過ぎました。
なぜここまでやってこれたかというと、生き残れたからです。つまり、一定以上の付加価値を生み出し続けて、それを認めてもらいおカネをもらい続けることができました。

大成功とは言えないまでもサラリーマンとしては統計上半分より高い方の収入を得ることができた理由を振り返って、今後も役に立ちそうな、つまり、私が今後も続けていきそうなことを、紹介します。

(1)勉強し続ける

「独学で学んだことをいかに速く使えるようになるか」

勉強というよりは、興味のある対象に対して知識を得たり、情報を追っかけたりすることを、自然にやっている感じです。電車でスマホを使っている大半のヒトの仲間入りをするとしても、ゲームをやるのではなく新サービスの情報を読んだり、あまり詳しく知らないけど必要っぽい技術の深掘りをしたりすることです。

ネットの技術に関して、ヒトより頭一つ出るようにするには、「独学で学んだことをいかに速く使えるようになるか」という1点にしぼりこめます。特にプログラマの場合、今も昔もはっきりくっきりと差が見えるところです。プログラマという仕事には独特のセンスがあり、その差は圧倒的です。

2008年、私はとある巨大インターネット企業の中で、WebディレクタとしてiPhoneアプリの開発を担当しました。日本で発売された直後のタイミングで、iPhoneアプリの開発環境やプログラム言語もまだ出たばかりでした。そのとき自ら手をあげてチームになった優秀なプログラマは、ドキュメントを読みながらおそらくは1日ぐらいで動くものを見せてくれました。誰にも教えてもらっていないはずです。そもそも教えられるヒトが日本にほとんどいませんでした。

「独学で学んだことをいかに速く使えるようになるか」の「使える」とは、「自分のこうしたい」を実現できることを意味します。レベルは低くてもよいので速く「使える」状態に達することが、生き残る秘訣です。

「即座にやってみる」

「使える」と似ているのですが、即座にやってみる、体験してみる、好奇心を意図的に爆走させることが大事です。幸運なことに、ネットの新しいものは、ほとんど100%無料です。おカネはかかりません。物怖じせず自己限定せず、即座にやってみることが、生き残るコツです。

プログラム言語ほど専門的なものばかりを言っているのではありません。

たとえば、流行っているサービスがあったら登録してみる、新しいスマホアプリが出たのを見たら即座にダウンロードして使ってみる……これが習慣となるレベルまで、生活の中で自然にやってしまうレベルまで持っていくことです。

サービスをたくさんみていれば、自分たちで企画をするときにどうしたらよいのか迷うことが少なくなります。こまったときにはいろいろなものを見てきた経験が役に立ちます。お客様目線の体験は、おカネを出してもなかなか得られない経験です。

いろいろな批判はありますが、ネットのサービスはユーザーの時間を奪い合う性質があります。つまり、体験するのにそれほど時間は必要ない、ということです。スキマ時間で対応できます。自分の24時間を何に使うか、無意識のうちに多数のネット企業に奪われるか、あるいは、自覚的に好奇心を満たしつつ時間を投入するかで、その後の人生に大きな違いが出ます。

(2)大きな流れ・大きな変化の波を読み取って、できるだけ速く乗る。

ドラッカーが「変化はコントロールできない。できるのは変化の先頭に立つことだけである」と言っているのは有名ですが、ネットの世界ではこれがまさしく極端にあてはまります。

波の先頭に乗ると、大成功できる

ドラッカーが勧めるとおり、変化の先頭に立つと成功できます。波の大きさにもよりますし、波から降りるタイミングや降り方によって、成功の度合いや得られるおカネの量が変わります。

比較的最近の事例でいうと、コインチェック社が象徴的です。

コインチェック社が創業したのは2012年です。ビットコインの歴史は意外と古く2009年に発生しているのですが、日本国内で初めて大きく報道されたのは2014年のマウントゴックス社の事件でしょう。ビットコインの価格が高騰したりそれを追っかける仮想通貨がたくさん登場したのは、もっとあとです。ですから、2012年に仮想通貨取引所を始める、というのはそれなりの賭けだったはずです。

2018年、580億円とも言われる仮想通貨の流出、つまり平たく言うとおカネを盗まれる事件が起きました。これに対して、コインチェック社はあまり時間を置くことなく、ユーザーに全額補填することを発表しています。つまり、さらっと500億円出せるだけのおカネを持っていたわけです。(のちに、それでも決算は黒字であったことがわかっています。)少なくともこの年は、ものすごい儲かっていたわけです。

事件をきっかけに、ネット証券のマネックス社に買収されました。事件の対応はお世辞にもうまくできているとは思えませんでしたし、少なくとも外側からは創業者たちに立て直しの意欲があるようにも見えませんでした。一方マネックス社は、36億円というスーパーお買い得な価格で自社になかった仮想通貨取引所を手に入れたわけです。Win-Winの取引なんだなぁと感じるM&Aでした。

まとめると、2012年創業→2018年に36億、6年足らずで創業社長には約30億円のおカネが残ったわけです。2000年前後のネットバブルの時代からすれば、金額やスピード感は弱まっているものの、よい成果だったように見えます。これはひとえに、仮想通貨取引所というビッグウエーブに、先頭に近いタイミングで乗ったことがその勝因です。

うしろにくっつくだけでも、生き残れる

一方、ビッグウエーブの後ろにくっつくだけでも、生き残ることができます。1つ目の勉強し続ける姿勢につながりますが、ビッグウエーブのあとに何もなくなる、ということもなくはないのですが、そこに大きな新しい市場が残ることもよくあります。もしかしたらこれは、業界全体がふくらんでいるからかもしれません。

でも少なくとも20年、後ろにくっついて生き残ったヒトが言うなら、多少の説得力も出るでしょう。

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