「クラウド」サービスは、日々ものすごい勢いで進化しており、AWS(Amazon Web Service)が業界をリードして、新しいサービスが出続けている、インターネットビジネスの中でも、特にホットな領域です。
今回は、日々出てくるものを追っかけるために、ここ数年の過去から未来への大きな流れをつかむべく、必要な考え方・概念やサービス事例を紹介します。
クラウドのサービスモデルは当初この3つだった:SaaS、PaaS、IaaS
いわゆる「クラウド」が定着した当初、サービスの形(サービスモデル)としての分類は3つでした。それが、「SaaS」「PaaS」「IaaS」です。
「ITソリューション塾」を主催している斎藤 昌義氏の図がわかりやすかったので引用します。
1つずつ見ていきます。
SaaS:Software as a Service
「SaaS:Software as a Service」とは、ユーザーの目に見えるサービスです。エンドユーザーが使うアプリケーションを、インターネットを介して提供します。
たとえば、ビジネス向けでいうと、Wordのような文書作成、Excelのような表計算・スプレッドシート、電子メールやスケジュール管理、プロジェクト管理、財務・会計ソフトや販売管理ソフトなど、いろいろなサービスがあります。他にも、ホテルやチケットの予約サービス、タクシーの予約サービスなどほとんどあらゆるネットのサービスがここに分類されます。
ブラウザ1つですべて完結してしまうようなサービスがイメージしやすいです。
たとえば、GoogleドキュメントやGoogleスプレッドシート、ビジネス用途で広がっているSalesforce、ブラウザでの利用は少ないかもしれませんがMicrosoft Office365も「SaaS」に分類されます。
「SaaS」は、ユーザが直接に使うために、目に見えるのでイメージしやすいです。
IaaS:Infrastructure as a Service
「IaaS:Infrastructure as a Service」は、その名のとおりインフラ部分を提供するサービスです。
イメージで言うと、パソコンをネット上にさくっと用意するサービスです。
パソコン上で何を動かすかは、「IaaS」のユーザーが自由に設定できます。逆に言うと、利用するにはある程度専門的な設定をする必要があります。
パソコンを使いたいと思ったら、普通、お店に行って買ってきて、なにやら初期設定を長々とやらされることになります。これに対して「IaaS」では、たいていはものの2~3分で、何回かクリックするだけで、1台起動させることができます。
また、性能や容量をあとから自由に変更することができます。これらは「仮想化」「VM:Virtual Machine」という技術で実現されています。
PaaS:Platform as a Service
「 PaaS:Platform as a Service」は、前述の「SaaS」と「IaaS」の間に位置づけられるサービスです。
つまり、エンドユーザーの目には直接ふれない、開発者・サービス提供者のためのサービスです。
しかし、「IaaS」で提供されるOSやシステムの上で動作します。
いわゆる「ミドルウェア」と呼ばれていたものがここに該当します。データベース、フレームワーク、ライブラリ、モジュールなどとも呼ばれます。多くの開発者が同じようなことをしているなら、そこは請け負ってあげて、自分のサービス開発の特別な部分・特殊な部分に集中してくださいね、という感じです。
ここ3年ほど続いている「クラウド・サービス」の進化のほとんどは、この「PaaS」の中で起こっていると考えるとわかりやすいです。
つまり、「SaaS」と「IaaS」の間で起こっている、と位置づけるわけです。(※解釈としては、「PaaS」の上で、つまり、「SaaS」と「PaaS」の間で起こっている、と考えることもできますし、その他の解釈もあることと思います。)
そして、そこで提供されるサービスの中心は、
- 「1)開発スピード・生産性の劇的な向上」と、
- 「2)半自動的なスケール対応」
の2つです。
「1)開発スピード・生産性の劇的な向上」は、リーン・スタートアップ」や「デザイン・シンキング」などに代表される、プロトタイプを圧倒的に速く市場に出す・リリースする、という開発現場の変化・ニーズにこたえるものです。
「2)半自動的なスケール対応」は、市場に出たあと、サービスが広がっていくときに、ユーザーが増えたとしても、カンタンに、あるいは、自動的に対応してほしいというニーズにこたえるものです。
まとめ
クラウドサービスの基本形として、SaaS、PaaS、IaaSの3つのモデルを、事例とともに紹介しました。
お役に立てば幸いです。
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